社会医療法人きつこう会 医療技術部
中央検査部門
病理検査室
Pathology Laboratory
ABOUT

病理検査室とは

病理診断は、疾病を診断、病因の解明を目的とします。
そのため治療方針決定に関与し、さらに治療の影響や効果の判定にまで携わっています。
手術、または検査目的に採取された臓器、組織、細胞などを対象に顕微鏡標本を作製し、詳しい診断を行います。
形態的な変化として把握される病変を肉眼的レベルの観察から顕微鏡レベル、
さらには染色体・遺伝子レベルに至るまでの変化をとらえて病理診断を行っています。
病理医と臨床検査技師が各科臨床医と連携し、患者様がよりよい治療が受けられるように日々努力しております。

業務内容

組織診

内視鏡や手術などで摘出し、ホルマリンに入った臓器を丁度良い厚さに調節。自動包埋機で一晩、脱脂、パラフィン浸透、馴染みをよくさせます。翌日パラフィン(ロウ)を用い、ブロックとして臓器に硬さを持たせた物をミクロトームで薄くスライスし、ガラス標本を作製、そのガラス標本を染色し病理医に提出、顕微鏡を用いて組織の状態や良悪性を含め診断します。

切り出し室

切り出し室
切り出し室
排気システムで換気をしながら、ホルマリンで固定した臓器を処理します。
切り出し室 撮影台
切り出し室 撮影台
手術室から提出された検体などは、切り出し前と後で写真を撮り、システム管理しています。
包埋機・冷却版
包埋機・冷却板
右側 包埋機 55℃で常時加温されており パラフィンが液体の状態で入っています。
左側 冷却板 -3℃に冷却され、パラフィンをブロックの形に固めることができます。
包埋機
包埋機
55℃の熱いパラフィンの液体を金属の皿に流し込み、ピンセットで臓器を移し入れ、冷やし固めます。
ブロック
ブロック
包埋した後、冷却板で冷やし固め、ブロックにすることで臓器に一定の硬さを与えることができます。
HE標本
HE標本
細胞の核をヘマトキシリン、細胞質をエオジンで重染色することにより、組織を観察することができます。
滑走式ミクロトーム
滑走式ミクロトーム
鋭い刃を取り付け、ブロックを冷やした状態で薄く切ります。切るときはしわや段にならないよう気をつけます。
滑走式ミクロトーム
滑走式ミクロトーム
ブロックを冷やした状態で息をふきかけながら濡れた筆で切片をとります。

細胞診

尿や血液などの中にどのような細胞がいるか、ガラス標本に細胞を塗布し、それを染色し顕微鏡で観察します。 細胞診スクリーナーと病理医が連携し、診断します。

細胞診パパニコロー染色
細胞診パパニコロー染色。臨床検査技師がスクリーニングし、病理医が診断します。
顕微鏡と病理システム
顕微鏡と病理システムが連携しており鏡検後写真撮影し、システムに登録することができます。

外来細胞診標本作成

外来で穿刺細胞診を行う際に、臨床検査技師が患者様のところへ伺い、臨床医と協力し標本作成します。

解剖

院内にて依頼があった患者さんの死因特定のために病理医・医師・臨床検査技師で解剖を行います。
技師が臓器からガラス標本を作成し病理医が診断します。

術中迅速対応

手術中に執刀医から提出されたホルマリン固定されていない生の臓器を技師が-60℃で凍結させ、薄くスライスしガラス標本を作製します。ガラス標本を染色し、病理医が診断、執刀医に結果を報告します。

使用機材

サクラ ティシュープリズマ、グラスg2(自動染色・封入機)
右側 自動染色機 1ラック20枚で、同時に60枚まで一度に染色することができます。20枚であれば、35分程で脱パラ~染色~封入まで完了することができます。

サクラティシューテック プリズム グラスg2(自動染色・封入機)

今まではガラス標本は技師の手染めで行っていましたが、新たにサクラの自動染色装置が導入され、染色性の均一化や、封入まで機械で行うことができるため、業務がより効率化されました。

サクラ ティシュープリズマ、グラスg2(自動染色・封入機)
機械の中に染色液や試薬をたくさん設置しています。また脱パラのみのコースもありギムザやメイギムザなどの際には利用しています。
染色機内は代替キシレンを使用
サクラ ティシュープリズマ、グラスg2(自動染色・封入機)
左側 自動封入機 キシレンと封入剤を用い、機械が自動封入~乾燥まで行ってもらえます
PHC Revos(自動包埋機)
正面の扉を開けると、試薬とパラフィンが入れることができ、機械の後ろからポンプで吸い上げ、タンクの中に順に入っていきます。

PHC Revos(自動包埋機)

ドラム型洗濯機のような形状で、検体をよく撹拌できるため脱脂がよくかかり、薄切しやすく、一段と良い標本が作製できるようになりました。

ラピッド(2時間30分の内視鏡検体などの小さな検体だけを処理する)プログラムとオーバーナイト(14時間大きな臓器を処理する)プログラムがあります。

ラックを対に架設し機械をスタートさせると、回転し加温や陰圧をかけながら検体をアルコール、キシレン、パラフィンに馴染ませていきます。
機械には、パラフィン、アルコールとキシレンを使用するのですが、キシレンは体に影響の少ない代替キシレンを使用しています。

PHC Revos(自動包埋機)
試薬が庫内に貯留している時も、外に漏れ出ない高さまでとなっているので途中で検体を追加することもできます
PHC HM525NX(術中迅速標本作成)
庫内は-20℃~-80℃に冷却され標本をゼリーで 凍結することで組織に硬さを持たせて 薄切することができます。

PHC HM525NX(術中迅速標本作成)

オペ室から提出される術中の組織診断にも対応しています。一週間2・3件程度。当院の術中迅速検査では、特に乳腺・膵臓・泌尿器系・脳の組織が多く提出されます。

クリオスタットで切りにくかった脂肪組織が粘着フィルム(川本法)を用いることで薄切しやすく標本作成時間が短縮になり、病理医が診断する際も鏡検しやすくなりました。

PHC HM525NX(術中迅速標本作成)
パネルで、厚さの調整や温度の調整が可能です。標本作成時は、右側面のハンドルを回すことで、ステージが送られます

業務実績

2022年度実績
組織診断 6,457件
細胞診 2,170件
病院見学・募集についての
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法人本部人財マネジメントセンター
採用担当 川本まで